超時空超巨大小学6年生

ときどき何か書きます。そんなに面白いことのってないよ

科学論文を読むとは *ツイートを読んだ個人の感想です

以下のツイートたまたま見かけたのでいろいろと考えてしまった。

ここで言ってる「論文」って、科学誌に掲載された査読付き学術論文のことだと思うんだけど、そういうものに対するスタンスとして信じる/信じないは馬鹿馬鹿しいというか、あんまり意味がないのではと思った。なんでそう思うかっていうと、科学論文、というか研究で出された結論っていうのは他の研究結果との関係性が大事だからだ。効きませんって単純に紹介されても、他の論文(実験結果)では効くって言ってるけどどういう実験をやってそういう結論になったの? というのがまず最初に気になるところ。

信じるか信じないか、イエスオアノーで問われればイエスでありノーということになるんだけど。つまり、何らかの実験や調査を行なってそういう結論が出た、というそのプロセス自体は一応「信じる」。信じるというのはどういうことか。それは実験や調査自体が実はなかったとは最初には考えないということです(それやったら単なる捏造で、ときどきそういうことが起きたりもするけれど)。

けれどもその結論が妥当かどうかについては、少なくとも論文をちゃんと読むまでは疑わざるを得ない。

私は医学や薬学についてはまったくの素人で、その手の論文は普段まったく読まないけれど、大前提として「ワクチンはCovid-19に効く」とここではおいておきたい。ここで適切なリンクなり論文なりを紹介してワクチンは確かに効くという研究結果が出ているよと言えればカッコよいのだろうけど、そういうことはできません。だって専門家じゃないし。CDCなりFDAなりが承認してるからまず効くと思ってるだけ。そこは正常なプロセスが働いてワクチンが有効だと科学的に確かめられているんだろうと「信じている」。だから、それと正反対のことを言っている論文があるのだとしたら、それはどういう理路でそういう結論になっているんだろうと疑うことになる。にわかには信じがたい、と。

そもそも何らかの科学的知見というものは、一つだけの論文(研究結果)によって認められるわけではない。ある研究でこういうことをやってみたらこういうことが 分かった。じゃあ他の研究でも同じ結果がでるのか? というのを繰り返してある科学的知見の確からしさを高めていくのが普通なのではと考えるわけです。

一般論として、同じようなことを調べている研究で正反対の結果がでることはよくある。で、ある研究では出ている実験結果がまた別の研究ではなぜ出ないのか、ってことを考えるとき、2つの研究でまったく同じ実験や調査をしているはずがなく、そこに実験結果が出るときと出ないときの違いがあるのでは? と仮説を立てて新たな実験をしてみるというような動きになるはず。

というか、もしそういう結論に至ったならほぼ確実に過去に「効く」って結果の出ている研究をIntroductionで紹介してその研究と他の研究との違いについて言及するはずなんだよね。なんならこれこれこういう違いが本研究と過去の様々な研究にあり、それはワクチンの有効性を確かめる上で本質的な影響があると考えるのに十分な理由であり、今回実験なり調査なりしてみたらワクチンは効かないということがわかるかもしれないと仮説の一つも立てているかもしれない。「ワクチンは効きません」って仮に正当な手順踏んで明らかになったとしたらインパクト大きいからAbstractにも絶対書くはず。

そのへんのことが書かれているかどうか気にしながらその論文読むと思う。 すでにワクチンは効くということは(他の研究で)言われているわけで、なぜ今回「ワクチンは効かない」という結論が出せたのか、研究同士の位置付けが大事なわけです。

それとこれは元のツイートが英語云々言ってるから思ったことなんだけど、そもそも英語で書かれたものなら読む能力のある人、日本に死ぬほどたくさんいると思うんだけど「読めないだろ」っていうのはどういう世界の話なのか。や、英語が読めることと、学術論文を読んで理解するっていう話は別だけど。まあそれとは別にDeep LやGoogle Translateを使えば英語論文読めるんだよっていう主張もときどきみかけるけど、個人的にはそれはあんまり安全ではない読み方だから、補助の一つとして使う分にはいいと思うけどどうかな? とは思う。