超時空超巨大小学6年生

ときどき何か書きます。そんなに面白いことのってないよ

外出(映画館で『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』) 20240106

映画館で『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』鑑賞。


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  • 去年は親族が短期間のうちに2人つづけて亡くなったので鑑賞中思わず涙が出そうになった
  • オカルトがもともと「隠されたもの」を意味するという点でこれは実に立派な「オカルト」映画と言えるのではないだろうか。いや、オカルト=隠されているものに関する映画というか
    • 霊媒の腕(という名前では劇中呼ばれてないが、明確な呼び名がないので便宜的に)の儀式では、まわりにいる人には呼び出したナニカは見えてなく、腕を握った人の様子が単におかしくなってるだけ(ありえないほど黒目が大きくなるという演出はあったけどもね)。霊に憑依されているのは完全に主観の世界で、そこのところがオカルト=隠されているもの・見えないものだなあと思った
      • 様子がおかしい人を撮影してネットでバズがZ世代の「森の奥の小屋で酒飲んでハッパ吸っておおはしゃぎ」や!
    • ナニカが実のところ霊なのかそれ以外の何者なのか(たとえば悪魔とか)、はっきりしないのはフレッシュ? かもしれない
    • とはいうものの主人公のたどった末路からやはり霊なのではと考えることも可能だが、ミアに取り憑いたナニカがミアの亡母であるとも言い切れないわけだし(最初の儀式では水死した女性に憑依されてるし、その後の幻覚を見るシーンでは繰り返し「水」を想起させる演出が繰り返されてる)
    • 取り憑かれて肉体を乗っ取られたライリーの魂がどうなってるのか、それも本当のところはわからない。ミアに取り憑いた何者かはミアに最悪の夢を自在に見せているわけだし。エクソシズム映画の悪魔は人間を乗っ取るためならなんでもする。ミアの末路から考えるとライリーがリンボで亡者から責苦にあってるというのはなんとなく疑わしい気がする
    • 母の自殺以来ずっと避けていた父とはじめてまともにコミュニケーションをとる場面でのキーアイテムが、それまで父が隠し続けていた母の遺書っていうのもオカルト=隠されているもの、っていうテーマなのかなって。死んだ人のことはわからないというより、他人の考えていること・体験していることって結局は主観の世界だから他人からは見えない。体の内側に隠されているもの
      • はたから見たらどう見てもクスリきめてハイになってるとしか思えなくても、実際はちがうという。そのあたりスーからミアが薬物の使用をうっすら疑われている。母親が睡眠剤の大量摂取で死亡した経緯をふまえるとスーがそう考えても不思議はない、というのに厭な説得力があった
  • 人間って死んだ後どうなるの? っていう究極的なオカルト=隠されているものに対する答えがこれだ。ぜーってえ死にたくねえ。厭すぎる。人類の平均寿命を無限にしてほしいです
    • 最後出てきた儀式をしてミアを呼び出した英語じゃない言語で話してるヨーロッパ系の人たち、エンドクレジット見てたらギリシア人なんだってさ。オーストラリアからいきなりギリシア。腕ごと霊もギリシアに移動する仕組みになってるの? 腕の儀式やるときは世界中のどこでも英語でTalk to me. I let you in って言わないといけないの? 英語わからない人を呼び出すときも英語でトークトゥーミーアイレッチューインじゃないといけないの? 死者の世界も英語帝国主義なの? おばけにゃ学校も仕事もなんもないけど英語できないと人並みに扱ってもらえないの?
      • 一応、ミアたちのグループが調子にのって次々と儀式をやってるモンタージュには英語じゃなさそうな言語でまくたてるナニカが呼び出されているところがある
        • 呼び出してるのが死者の魂的なアレだとして、それが生者に対してどう振る舞うかについて決まった法則はない、という話かもしれないなこの映画。
          • や、「憑依した人間を殺してその魂を支配しようとする」的な行動原理は最初に登場したダケットやミアの母、ライリーに取り憑いたナニカに共通してるのでそれはないかな
          • 連続儀式のモンタージュで呼び出されたみなさんの反応がいろいろあったし、ミアが病院で呼び出した少女はそれまでとは逆にI let you inとミアを言ってるのでそのあたり全員が全員邪悪な行動原理を持っているとはなんとなく決めつけられないってちょっと思った
          • とはいえミアに取り憑いたのが実は最初に出てきた水死した女性かも? と考えると、憑依したナニカがとり得る姿というのは自在で、ミアに邪悪な意図でうそんこのライリーの幻覚を見せていた、とかもあり得る
      • 90秒超えると危ないとかもどうやって成立したかわからないルールだし、腕握ってかける言葉も死者に届く言葉なら実はなんでもいいのでは? と思えるわけです
        • 最後に出てきた暗闇の世界でキャンドルの光だけが見えていたことを考えると、そこだけは呼び出すのに有効なプロセスの一つとは言える。おそらく、言語も
    • ミアに起こったことを考えるとミアが最後に見たライリーや父マックスの姿も現実かどうか怪しい。マックスは別としてもライリーに取り憑いたナニカ自体、解消したと考える材料は劇中提示されてないわけだし。取り憑かれっぱなし