海外ドラマ見ればいいよ(海外ドラマ見ればいいとは言ってない)
ウソウソ。
アニメも観るし海外ドラマも観るし映画も観るしまんがも読む。
年末にベイマックスとかワンピースとか、ポリコレとかうんたらかんたらな話題で盛り上がっていて、こんな↓トゥギャッターのコメント欄に書き込んでみたり、朝方までツイッターで話してみたりしてたわけですが。
@heboya ディズニーに勝つ必要があってもなくても配慮すべきだと考えるならそれをするべきだし、世界に発信するにあたって、何もディズニーと勝負(シェアの争奪戦)をする必要もない。っつーことなんですわ。
— 九六 (@cloq) 2014, 12月 30
↑会話が気になる方はチェックチェック! (見てほしいのか)
で、私の住んでいるところではBig Hero 6こと『ベイマックス』、2D吹替版しかやっていないので、得意の海外ドラマ鑑賞で年末年始を過ごしていました。
そしたらちょうど観たもので取り上げられていたのが、女装する人やゲイのキャラクターなど所謂日本では‘偏見描写’の対象になるものだったので、ちょっと紹介するとともに考えたことをメモ的に少し書いておこうと思います。
このエントリではドラマ『メンタリスト』シーズン4第21話「ルビー色の魔法の靴(Ruby Slippers)」のネタバレをします。
他にも『デクスター』シーズン7第8話「理想の地(Argentina)」 もそういうネタだったけど、それはまた今度書く。
『メンタリスト』は米CBSで放映(いまちょうどファイナルシーズン)されている犯罪捜査ドラマで、主人公のパトリック・ジェーン(サイモン・ベイカー)は元インチキ霊能力者。その推理能力を買われ、また過去に自身の妻子を殺害した連続殺人鬼レッド・ジョンを捕まえるため、警察(じゃないのだけど、正確には)でコンサルタントとして活動しています。
基本的に一話完結型のドラマで、毎回ジェーンさんは読心や心理操作テクニック(これを使って霊能力者として‘大活躍’してた)を使って難事件を解決していきます。ジェーンさんが繰り出すワザでTPOをわきまえず暴露されていく事件関係者の秘密や意外な真相が痛快でオススメです。
そんなメンタリストのシーズン4第21話「ルビー色の魔法の靴(Ruby Slippers)」は、焼死体がドラァグクィーンバー(こんな表現あるかな?)の裏手で発見されたことから始まります。事件現場に残っていたのは女性物の靴のヒール。バーを訪ねるとヒールの持ち主はグレンダさんというドラァグクイーンで、彼女は事件の直前にバーの裏手にいたと言うのだが…というお話。
↑左がグレンダさん、右がジェーンさん
このグレンダさん(どうでもいいが、この人の名前って『グレンとグレンダ』からなのかな) 、参考人として捜査協力しに来たときの振る舞いがすごく「女っぽい」。
フォーマルながらフェミニンな格好で来たはいいがこれがものすごく似合ってない。主任捜査官であるリズボンが「いつもそんな格好を?」と訊くと、「TPOは考えている。誰と会ってどうやって悩殺するか」って返す。この返し、まんがとかアニメに出てくる‘オカマキャラ’にすごく近いと思う。
「すごく近い」って言っても、具体的に思い浮かぶのは少なくて、『銀魂』に出てきた「かまっ娘倶楽部」の面々と『翠星のガルガンティア』に出てきた地下オカマバーの面々だけだけど。まあ私がまんがアニメに出てくるオカマキャラってだいたいこういうキャラづけしがちだと勝手に思ってる、そういう感じ。
ドラァグクィーンが女性のパロディだという話をどこかで見た覚えもあるけど、これってそういうことなのかな? と思ってみたり。
ジェーンさんは基本的に女性にモテモテ(元詐欺師だし甘いマスク(笑)のイケメンだ)なので、ここでもドラァグクィーンたちにモテモテ描写繰り出されるかな? って思いながら観てたけど、そういうことはなくバーでの聞き込みシーンではドラァグクィーンたちの人物紹介を必要最低限してるだけ。ここのさりげない人物紹介が今回の事件解明の伏線になってるあたりクレバーな感じするなあと思いました。
(私がアニメやまんがにありそうと考えがちな)オカマキャラ的な描写はこれだけで、あとはグレンダさんがリアルネームのグレンとしては死体化粧師として働いていること、事件の舞台となってるサクラメントでは男が化粧をすることは許されないのでその職業を選んだことなどいろいろ納得の事情が語られる。
事件の真相はといえば、ゲイであることでいろいろな人(父親・職場の同僚・同棲相手)に苦しめられてきた被害者のアーチー(最初に焼死体で発見された人)が、その復讐に自分が死ぬことで彼らのやってきたことが白日のもとに晒されるように仕向けていた…というもの。
おまけにアーチーは実は死んではいなくて、ドラァグクィーンたちの協力を受けて自分の死を偽装していたことがジェーンさんによって明らかになります。
グレンダさんはストレートの男性として生きられない人たちに、ドラァグクィーンとしての違う人生を教えて、大変尊敬されているので、今回の事件もアーチーに同情したグレンダさんたちが彼を助けるために協力していたということ。
ドラァグクィーンたちの自己紹介で出てきた「昼間は歯科医をしている」という人がアーチーの医療記録を改竄(アーチーは彼の患者だった)し、グレンダさんが無縁仏を見繕ってきて自殺偽装成功、という流れ。
最後にドラァグクイーン‘フィフィ・ニックス’として「蘇った」アーチーがOver the Rainbowを歌うのはとっても象徴的。
驚いたのは、「サクラメントでは男性が化粧することは許されない」っていうグレンダさんの台詞。カリフォルニアといえばアメリカのなかでも最も自由な州で、その州都であるサクラメントでよもやそういう偏見がむしろ強いとは思ってなくて、ええーそうなんー? って思った。
もちろんこれはドラマだし、その中の登場人物が言った台詞なだけだけど、少なくとも実在の都市を出して、そういう台詞を何の説明もなしに語らせているということは、アメリカの視聴者にはそういう前提がある程度共有されているということになると考えるのが自然だと思う。だから、そういうこと(社会評論家風に言うとアメリカ人のリアルかw)をテレビドラマの脚本に盛り込むっていうのはなるほど、まんがとかアニメにはあんまりないかもなぁって思った。